ボーヂって何でしょうね?
辞書を調べたんですが、少なくとも広辞苑第4版と言海(復刻文庫版)には載っていませんでした。(ぼうじ、ばうじ、ぼうぢ、ばうぢ などもありませんでした。)
ネットで調べると、「ぼうじ」または「帽子」という表記にてヒットしましたが、いずれも能楽師(おシテ方)の提供する情報がほとんどでした。
ただ、厳密なところで僕の欲しい内容ではなかったので、ここでは割愛します。
ボーゲ…ではありません。「狂言作り物用ボーヂ」と書いてあります。
こういう、幅が10cm強ぐらい(4寸?)でしょうか。
さらしの細長く切った布の事を、ボーヂと呼んでいます(便宜上、拙ブログでは表記をボーヂとします。また、もう少し幅の狭いものもあったように思います。)
そうですね、伸縮性のない包帯のようなものを想像してもらうと良いかもしれませんね。
あと、写真には白色のものしか見えていませんが、この下に赤色のボーヂもあります。
さて、これは何に使うのか?ということですが…。
能や狂言には、様々な「作り物(つくりもの)」と呼ばれる、木製(あるいは竹製)の小道具、大道具(いわゆる舞台セット?)が出てきます。これらにボーヂを巻き付けて覆ってしまいます。
右は、11月に神戸の湊川神社 神能殿にて「髭櫓(ひげやぐら)」という演目に出演しますので、それに用いる御道具(これは、熊手という武具を模したものです。)を出してみました。
☞僕が普段ボーヂを巻くような事がないのもありまして。
さきほどの、巻き取られたボーヂを、熊手の柄の部分にグルグルと巻き付けていきます。(要領は包帯を巻くのと同じですね。)
最後は、糸針でボーヂ同士を縫い合わせて止めます。
これが、私ども法人の髭櫓の御道具(一部)です。
柄の部分(尺の長いもの)とは別に保管してありますが、熊手の他、薙鎌(ないがま)と槍の穂先(血溝アリとナシ各4本「い」〜「ち」の文字が彫られています。)です。
玄三郎翁の手製です。
余談ですが、前回の徳讃会で「靱猿」の「大雁股」を解説する折にも少し触れましたが、舞台上には、実際の武具をもって上がる事が許されませんでした。なので、これらの穂先はすべて木製の模造物です。
幕府の要人、貴族などが能や狂言を鑑賞する際の安全性に配慮したものである(今で言うところの、テロ対策?)だと聞いています。
柄の部分は、先が割れています。
そして、玄三郎翁の工夫でしょうか。糸針を止めるための溝が彫られています。
上の2枚目の熊手の写真も併せて御覧いただきたいのですが、熊手のパーツを柄に差し込んで、糸針で結紮することで、脱落を防ぎます。
結紮した後に、さらにボーヂでグルグルと巻いていくわけですね。 (だいたいは楽屋で組み立てます。)
さらに接写してみました。(たまたま、iPhoneのアプリにそのような機能があったので^^; )
玄三郎翁の工作の工夫、細かさの一例が、よく分かりいただけるかと思いますが……。
ま、そんなことをやっていた、日曜の午後でありました。
0 件のコメント:
コメントを投稿
まいど!コメント、待ってます!!
(承認制になっていますので、反映には時間がかかる場合があります。)